この「Zen City」シリーズの作品では、スピーカーや電磁コイルのような大きな円形が中央に据えられ、周囲には音響機器や制御回路を思わせる密集した構成要素が広がっています。本作も、独自の技法「ピクセル・モンタージュ」を用いて、花や茎、植物の質感といった自然の写真素材を用い、精巧な工学的表面を模すように構成されています。スピーカーのような円形は、音や通信、そして目に見えない周波数の伝達を連想させます。
画面には、赤・黄・青といった鮮やかな色彩が点在し、暗い背景にエネルギーの動きを与えています。それは、音の信号であると同時に、生体の鼓動や流れにも似たものです。中央の放射状パターンは、振動や成長を表現し、テクノロジーと自然というふたつの次元をつなぎます。
この作品は「共鳴(resonance)」のメタファーを提示しています──生物的システムも人工的システムも、振動し、伝え、反応する存在です。鑑賞者は、目に見える構造だけでなく、リズムや呼吸、振動、流れといった「感じるもの」にも意識を向けることになります。この作品は、単なる回路の再現を超え、ミクロとマクロの両方のレベルで「つながり」と「伝達」について瞑想する視覚装置でもあります。